約 940,050 件
https://w.atwiki.jp/konashin/pages/1792.html
こなた16スレ目作品 16-9 16-119 16-124 16-180 16-193 16-328 16-404 16-426 16-444 16-447 16-448 16-481 16-863 16-882 16-884 16-914 16-933 前 戻る 次 メニューへ
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/233.html
ヴェルレーヌも詩ったように秋というものは、人をセンチメンタルな気持ちにさせる。 揺れて舞い散る落ち葉の、悲しげな舞踊のせいか。 纏うものを無くした木々の、哀愁漂う立ち振る舞いのせいか。 はたまた、食欲の秋を布石として生まれる、余分な脂肪からか。 個々によって原因は違うにしろ、その気持ちを紛らわすために、人々は温もりを求める。 そしてそれは、異性同士にばかり言えたもの、というわけでもない。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― -------------------------------- 『こなた庇護計画発動』 -------------------------------- ―――――――――――――――――――――――――――――――― 「はぁ……」 意味もなく大きな溜息をつくのは、薄紫色の髪を頭の両端で結ったツリ目の女の子。柊かがみだ。 首を回して窓の外を見ては、視線を前方に戻して溜息をついていた。 すれ違う生徒達はいずれも笑顔で、並んで歩く友人と他愛もない話をしている。 かく言うかがみもそれは変わらず、隣には少し不釣合いな身長の少女が付き添って、楽しそうに話していた。 「ねぇかがみぃ、少し歩くの早いって」 「え? あ、ご、ごめん」 「何かあったの? 溜息までついて」 「……いや、別に。なんでもないわよ」 そう言いながらも目は泳ぎ、隣の少女はどうにかしてその視線を捕らえようと、体を傾けて追いかける。 こっち向いてよ、という青髪の少女、泉こなたの言葉に、1度は目線を交えたものの、すぐにまた反らしてしまう。 「悩み事なら私が聞いたげるよ?」 「……言えたら苦労しないっての。まったく、誰のせいだと……ブツブツ」 「?」 普段ちょっとした相手の変化には鋭いこなただが、自分のこととなるとこれでもかと言うほどに鈍感になる。 かがみの悩みの原因が自分だとは、気づきもしないようだ。 2人して前を向かずに階段を下りる。危険だと言ってくれる人は近くにいない。 そして案の定……。 「むぅ、教えてよぉ……気にな、ひゃぁあ!?」 「こなた!?」 残り7段ほどのところでこなたが足を踏み外し、転げ落ちてしまった。 かがみが真っ青な顔をして駆け寄る。 うつ伏せになってプルプルと震えているこなた。 スカートが捲れて、可愛らしいショーツが丸見えだ。 「ぱ、パンツ……じゃなくて!! だ、大丈夫!? こなた!!」 「いったぁ~……大丈夫大丈夫。いやはや、私としたことが」 やっちゃったよぉ、と軽く言うのはかがみに心配させないように、という 気配りからなんだろうが、痛々しく膝から滲む血と、既に青あざになりかけている脛が かがみを追い込んだ。 「ひぃ!? こなた……こなたぁ!!」 目尻に涙を溜めながら、こなたに抱きつくかがみ。 突然のかがみの豹変に、こなたはあたふたして背中をさすってあげている。 「お、落ち着いて? 大丈夫だから、ね?」 「ぐすっ……あ、ごめん」 「もぉ、いきなりどうしたのさ」 「いや、その……すごく、びっくりしちゃって」 こなたはポケットからハンカチを取り出して涙を拭いてあげる。 かがみは赤くなりながら、されるがままだ。 「なんかこれは逆じゃないのかな?」 「そ、そうかもね……」 怪我をしたこなたが泣いて、それをかがみが受け止めてあげる、というのが普通だろう。 かがみを慰めるこなたは、そこに密かに萌えていたりした。 「まぁいいや、取り敢えず保健室行ってくるね」 「え!? わ、私もついてくわよ!!」 当然の反応だ。友人が目の前で怪我をしているのに『わかった、いってらっしゃい』 なんて言う人はいないだろう。 しかも心配性のかがみのことだ。ついていくだけじゃなくて、そのあとも付き添って ずっと面倒を見るとか言い出すだろう。 それを分かっているからか。 「かがみは教室戻りなよ。もうすぐで授業始まるよ?」 こなたはかがみに、教室へと戻るように言った。 「で、でも……心配で」 「大丈夫大丈夫♪ 膝擦り剥いただけで大した痛みもないし、1人でいけるよ」 「でも……」 やたらに助詞を連発するかがみを制しながら、ゆっくりと立ち上がるこなた。 大丈夫大丈夫とかがみに言い聞かせながら、一歩踏み出した。 ところが……。 「……っ!!」 「こなた!?」 足首を押さえながら蹲ったこなたの肩に手を置いて、しゃがみこむかがみ。 しかしこなたは、何事もなかったような笑顔をかがみに向けている。 「な、なんでもないよ」 「……こなた」 かがみはさっきと打って変わって、怒ったような顔をしていた。 コロコロと表情の変わるかがみに、こなたはついていけず戸惑っている。 「な、何?」 「右足見せなさい」 疑問でも願望でもなく、命令。相手の返事を必要としない、確認としてのその言葉を 言い放ったかがみは、こなたの右足を――脹脛を掴んで自分の方に近づけると、ソックスを 優しく下ろした。 「やっぱり……」 「えっと……かがみ?」 外気に晒されたこなたの足首は真っ赤に腫れ上がり、ピクピクと痙攣している。捻挫して いるのかもしれない。 かがみは意を決したように、こなたの背中と太ももに手を回して持ち上げた。 「ちょ!! か、かがみ!? だから大丈夫だって!! 私一人でも」 「何言われても、連れてくからね!!」 「う゛……は、はい……」 かがみのあまりの剣幕に、こなたはもう何も言わずにお姫様抱っこされている。 あまりこなたに負担をかけないように、かがみは保健室へと向かった。 「こなた、痛くない? 揺れとかで」 「ん、大丈夫」 体勢上、2人の顔はかなりの至近距離にある。 自然と顔が上気してしまう。 すると、珍しくこなたの方から目を反らした。 「どうかした?」 「え? いや、その……」 言い淀むこなた。いつもズバズバ言葉を発して、かがみを赤面させるこなたにしては 珍しいことだった。 そのためか、かがみも少し強気になっている。 「何よ、気になるじゃない。……言いなさいよ」 「……え? いや、その……かがみ、なんかかっこいいなって……思って」 「っ!?」 不意打ちの嬉しい言葉に、かがみの顔はみるみるうちに真っ赤になる。 まるで熟れたトマトのようだ。 何か言いたいけど言葉が見つからない。そんな状況に、口をパクパクさせている。 「やっぱりかがみ、私より体……おっきいんだね……なんか安心する」 そう言葉を紡ぎながら弱弱しく体を授けてくるこなたに、ついにかがみは理性が崩壊してしまった。 「……」 保健室のドアを荒々しく足で開ける。しかし、どうやらふゆき先生はいないようだ。 『一番奥のベッド』へとこなたを下ろしてから、足首と足を弾性包帯で固定し、氷嚢を 作って患部に当てた。 「冷た!!」 「当たり前でしょ。……はい、ここに足乗せて」 「はーい……でも、こんなにしなくても大丈夫だよかがみ」 「だーめ、もしも捻挫だったらどうするのよ。捻挫は骨折よりも怖いんだからね?」 右足を台の上に乗せて、心臓よりも高い位置にする。 これが一般的に知られる家庭医療だろう……と思う。 「さて、これ以上のことは先生に任せるとして」 「うん、ありがとかがみ。もう戻っていいよ」 「何言ってるのよ。他に怪我した場所を確認するに決まってるでしょ」 「えぇ!?」 「取り敢えず膝と脛のところは確認できたわね……他にも怪我してるかもしれないわ。というわけで脱いで」 「なにおぉ!?」 然も当たり前のように力強く言うかがみ。 流石のこなたも、この言葉には首を全力で横に振った。 「あ、ごめん、カーテン開いてたら恥ずかしいわよね。今閉めるから」 「ちょ!! 違!!」 こなたが言い終わる前にカーテンを閉め、洗濯バサミでしっかりと止めた。 「あぁ……逃げ道が……」 「脱がすわよ」 「かがみ、積極的すぎ……うわ!!」 あっという間に下着姿にされたこなたは、恥ずかしさでもじもじと身動きをした。 かがみはその様子を凝視している。 「……」 「あの、かがみ?」 「あ、あぁ、それじゃあ怪我見るわね」 そう言いながら、こなたの肌に手を沿わせるかがみ。 ここは? じゃあここは? と痛いところを探っているみたいだが 明らかに触るところがおかしい。胸やお尻の周辺ばかりだ。 「かがみ、同じところ触ってるんだけど」 「あら、そうだった?」 やっと理性が戻ってきたのか、触る掌が妙にプルプル震えている。 まるで豆腐か何かを、崩れないように触っているようだ。 とてもじゃないが、痛いところを見つけようとしているとは思えない。恋人のそれを触るような手つきだ。 「か、かがみ、他のところは大丈夫だよ。痛むところもないし」 「そ、そうね。じゃじゃじゃじゃじゃじゃあ、服着て」 「動揺しすぎだよ」 完全に理性が戻り、自分の行為の恥ずかしさを実感しているかがみを尻目に、こなたは制服を着始めた。 すぐにふゆき先生が戻ってきたが、なんとか服を着終わることができたようだ。 「捻挫ね」 ふゆき先生がこなたの足首を診て、すぐにそう言った。 「あぁー、やっぱり」 「えぇ、今日はもう帰って、病院に行ったほうがいいわ。捻挫は怖いからね」 「あ、それかがみも言ってました」 氷嚢を足首に当てながらこなたが言う。 さっきよりも赤く腫れて、中心の部分が紫がかっている。 とても痛そうだ。 「でも軽い捻挫だから入院はしないと思うの。それで、普通に学校これると思うんだけど 学校で面倒見てあげる人が必要なのね? だから」 「はい!!」 いままで生きてきて一番元気なんじゃないか、とすら思えるほどに元気よくはっきりとした返事をするかがみ。 その目はらんらんと輝いている。それとは正反対に、少し不安そうな目をしているこなたがいた。 「あら、引き受けてくれるのね。じゃあお願いするわ」 そういい残すと、泉家に電話してくるといって、ふゆき先生は保健室を後にした。 残されたのはこなたとかがみ。 「大丈夫なのかな……かがみで」 「な、なんでよ」 「だって……不必要に面倒見そう。おしっこしてる時までトイレの個室の中で待ってたりとか」 具体的でピンポイントな指摘に、かがみは顔を真っ赤にした。 その反応にはいったい、どのような意味が込められているのだろうか。 「そ、そんなことしない!! ……と思う」 「……やっぱり不安だよ」 「……こなたは……私に世話されるの……いや?」 少し涙目になりながら悲しげに言うかがみにこなたは、突き放す言葉を言えるわけもなく…… 「……そんなわけない。うれしいに……決まってるじゃん」 「こなた……」 「治るまでお願いね……かがみ……んっ」 そう言って、かがみの頬にキスをした。 当のかがみは、頬を紅潮させながらも満面の笑みを浮かべて…… 「任せなさい!!」 かがみは何か悟ったのか、こなたまで元気にさせてくれるような笑顔でそう言った。 「そういえばかがみ、悩み事は?」 「ん? あぁ、あれね……なんかもう吹き飛んじゃったわよ……だって、ね」 「え?」 「ふふ、なんでもない♪」 意味深に微笑んだかがみは、ぎゅっと愛しい人を抱きしめて、その唇に自分の唇を重ねたのだった。 ちなみに、うまく身動きを取れないこなたが、かがみにいいようにされてしまうのは ――また、別のお話 【 fin 】 コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-21 11 20 34) こなただいじょうぶ? -- かがみんラブ (2012-09-15 05 01 13) 「別のお話」とやらをお願いします。 -- 名無しさん (2012-06-10 21 02 31) 是非これを別の展開で!! -- 八トタ (2010-03-29 23 36 37) 是非別のお話を 読みたいです! -- 無垢無垢 (2009-02-27 00 45 28) べ、別のお話をーーーーーーーッ!! -- 名無しさん (2008-12-02 20 58 52) いい話だなww -- 名無しさん (2008-12-02 03 24 09)
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/264.html
…どうも最近こなたのことが気になってしょうがない。 寝る時になってもこなたの顔が思い浮かんで、眠れなくなってしまう。 …べ、別にこなたのことが好きってわけじゃないんだからねっ!(この後に及んでまだ言う) で、でもこなたが私に懐いてくるのは、私としては結構嬉しいかも…///…えへへ …べ、別(SS始めます。) 朝、私とつかさが駅でこなたを待つ。 すると、こなたがものすごい勢いで走ってきた。 「か~がみぃっっ!!!」 私に抱きつく。私はもう飛ばない。 「私…かがみのこと大好き!!!結婚しよっ!!子供の名前は『こなみ』でいいよね!!」 ちょっ…あんたいきなり恋愛過程完全無視のハッピーエンドかよ。 それと、子供の名前…無理に私たちから取らなくてもいいんだぞ。 なんだか実況パワフルプロ野球… いや、なんでもない。 さっきのこなたの勢いのとばっちりをくらったつかさが、隅で泣いているのが見えた。 …あとでしっかり慰めてあげよう。が、今はこなたが抱き付いてきたという恥ずかしさと嬉しさでわりとどうでもよかった。 電車の中、こなたは私の膝を枕にして寝ている。 席を二つ分取ってしまうため、満員電車の中つかさが立つハメに。…あとでしっかり慰めてあげよう。 私たちは学校に着いた。 つかさが、いなくなってた。 こなたが言った。 「かがみと…同じクラスだったら良かったのにな」 「うん…私もよ」 お互い寂しそうに笑い合った。 つかさはあとでしっかり慰めてあげよう。 ●1時限目 授業が後半に差し掛かった頃。 突然私の教室の扉が開いた。 皆がその扉の方向を見る。 すると、背の小さい青い髪の少女が立っていた。 しかし、その顔は涙でぼろぼろに濡れている。 「ど…どうしたのよ、こなた?」 「うぅ…か…かがみぃ~~~っっ!!!」 そう言って脇目もふらず私に抱きついておいおい泣き出した。 訳がわからないが、こなたがあまりに切羽詰まってるようなので、私はこなたの頭をなでながら優しく言った。 「何があったの…?こなた…話してみて?」 「だって…だってえ…かがみがいなくて寂しかったんだもん…!!」 …1時限目でそれっすか。 じゃあ、どうやって昨日の晩を過ごした。 てゆうか、今までの高校生活どうしてたんだ。 このとき、私は未来を見ようとはしなかった。怖くて。 ●2時限目 次の時間は、調理実習で、B組との合同授業だった。 私は、嫌な予感がした。 しかし、そんな心配を余所に、こなたは持ち前の手際の良さで、カレーライスと肉じゃがとポテトサラダを2分で作り上げた。 その後は、ずっと私にくっついていた。 その間、こなたはずっと私に「好きだよ」と300回くらい言ったり、ご飯を食べさせたり、腕にしがみついたり、 髪をなでたり、ほっぺにキスしたり、耳をなめたり、胸を触ったり、服を脱がせにかかったり、してきた。 私はその一切を阻まなかった。 でもその後、黒井先生にやたらめたくそ怒られた。いや、確かにふざけてるように見えたかもしれないけど… ちょっと怒り過ぎなのでは?しかも泣いてるし。 怒られてる間、こなたがずっと私を抱きしめたままだったのが原因なのかもしれない。 ●3時限目 今度は、なぜか1年生との調理実習だった。 何故だ。何故に測ったようなタイミングで事が起こる。 ある時、一人の生徒が乱入してきた。 「柊こなたです」 「ちょっと」 私はこなたを嫁に向かえたのか。それはさすがに知らなかったぞ… 「かがみ~ん、だ~い好き!」 こなたは、私に抱きついてきて、頬にキスしてきた。 「こ、こなたぁ、は、恥ずかしいわよぉ…」 こなたが、私とイチャイチャしてくる。 みなみちゃんはゆたかちゃんの目を手で隠している。端から見るとそんなやばいのか。 パティは何か嬉しそうに写真を取っているようだが、ひよりは鼻血を出して悶絶している。大丈夫かしら。 あ…こなたのアホ毛が2本に増えてる。いや、それは関係無い。可愛いとは思うけど別にいい。 「かがみん、大好き。大好きだよ。ちゅっ」 「こなたぁ///…は、離しなさいよ~…!」 いや、まずい。このままではひよりが死ぬ。なんか机に頭を打ち付けてるし。 「かがみ、嫌いなの?私のこと嫌いなの!?」 違う。ひよりが、『マズイ』。自分の顔を火で炙ってるし。 「かがみに嫌われたら…私…やだよぉっ!!」 そんなことない。私がこなたのことを嫌いになるはずはない。でも、ひよりはマズイ。このままではひよりはマジで死ぬ。 排水溝に流されそうになっている。 この時間、私たちの行動で後輩を一人死なせてしまうところだった。 ●4時限目 私のクラスにて。やっぱ扉が開いた。 私は「来た」と思った。 ↑内心「(゚∀゚)キターーーーーーーーーーーーー」 「泉かがみを向かえに来ました」 「こなた…」 今度は私の方が嫁かよ。…いや…なんかもうだんだんそんな気すらしてきた。 昼休みの時間。 こなたと私は弁当のおかずをお互いに食べさせ合った。 いや…だって…それはぁ、こなたがどうしてもって言うからぁ…うふふっ。 お、つかさ。やっと来たわね。何してたの? ●5時限目 今度は、この学校では今までなぜか見たことのなかった2年生との、調理実習だった。ふーん。 つかさはみゆきに慰められていた。 こなたは、いつ来るのやらとハラハラしていたが、ちょっと体を交わらせただけで、すぐに戻ってしまった。 特に事が起こらなかったので、私は安堵したが、ちょっと寂しい気分だった。 …!!べ、別にこなたのことが気になってるわけじゃないんだからねっ! ●そして、6時限目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 全 校 集 会 。 私は考えることを諦めた。 全校生徒がずらっと並んでいる。 こなたはいなかった。 さすがに今日の事があるのか、黒井先生が私とこなたを引き合わせないように、こなたを隔離したらしい。 …ちょっと可哀想だけど、仕方ないか…全校集会だもんね… 校長先生の話が終盤にさしかかった頃、私はふとあることを思い出した。 こ な た が 格 闘 技 経 験 者 だ と い う こ と に。 その瞬間体育館のドアが開いた。 …のではない。ドアが、吹き飛んだ。 「かがみぃ~~~~~~~~~っっっっっっ!!!!!」 …そこまでやるか。正直、うるっときた。 飛ばされたドアが日下部の上に落ちた。しかし私は気にしな(ry) こなたが涙を流して、切ない顔で私の方を見ている。 「こなた…」 私の胸がキュンとなった。私はこなたの方に駆け寄る。 「かがみぃっっ!!!」 「こなたぁ!!」 お互いに走りよって抱きしめる。 「かがみぃ…!!もう…もう、かがみと離れるのやだからねっ!!」 「こなた…ありがとう、ずっと…一緒だからね!大好きよ!!こなた!!」 「うぅぅ…かがみぃ…かがみぃ…!!」 感動のあまり、つかさやゆたかちゃんが号泣している声が聞こえた。 感動して、峰岸に救出を懇願する日下部の声は届かない。 ひよりは…私にはもう見えない。 もはや、全校生徒が感動して、体育館が愛に包まれているようだった。 そうじろうさんまで泣いていた。何故ここに。 もう、こなたのアホ毛が3本に増えてオバQみたくなってるとか、ひよりがとうとう逝ってしまったこと(二日後に蘇生予定)とか、 その後ロッカーから金髪の女教師が出てきたとか、もうそんなことはどうでも良かった。 こなたと一緒にいられるんだから… ハッピーエンド。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!笑 -- 名無しさん (2022-12-23 15 43 28) ひよりが.....(笑) -- 名無しさん (2014-08-16 00 48 25) 体育館のドアを吹き飛ばすとは 恐ろしき力!!! -- ブレイブ (2013-01-16 17 39 32) ひ、ひよりがぁ……!!(笑) -- 名無しさん (2009-11-12 19 55 58) なにこれ? -- 名無しさん (2009-11-08 07 39 58) こなたかわいすぎるww めでたしめでたし -- 名無しさん (2009-11-07 20 20 15) 間違い泣くハッピーエンドwwwww でもやっぱひでぇw ひより死亡かいw -- 白夜 (2009-10-13 01 03 38) カオスすぎるwwwwだが素晴らしいハッピーエンドwww -- 名無しさん (2008-12-14 14 26 34) 調理実習多過ぎwwwww これは間違いなくハッピーエンドwwwww -- 名無しさん (2008-06-10 18 14 58) ひでぇハッピーエンドだwwwww そうか!これが愛の力か! -- 名無しさん (2008-06-08 16 50 56) なんちゅうハッピーエンドw -- 名無しさん (2008-06-08 02 36 37)
https://w.atwiki.jp/kyoronosuke/pages/28.html
『うー…眠い…。さすがに徹夜はやりすぎたかな…。』 青い髪の少女がフラフラしながら、駅のホームで電車を待つ。 ちょうど、紫色の髪の二人の少女が階段を上がりプラットホームに現れた。 つかさ「こなちゃん、おはよー!」 かがみ「おはよ、こなた。」 こなた「おはよ、つかさともう一人。」 かがみ「だから、略すなっ!!」 つかさ「こなちゃん、すっごく眠そうだよ?大丈夫?」 こなた「いやー昨日も盛り上がってさー」 かがみ「またゲームか。」 こなた「さすがかがみん。鋭いねー」 かがみ「あんたの生活サイクルはゲームかアニメしかないのか!」 青い髪の少女――こなたにとって、ごく普通の日常。 こなたにとって、今ある日常はかけがえのないものだ。 こなたは生まれて間もなく母親を病気で失って以来、父親と二人で暮らしてきた。 父親であるそうじろうは(かなり個性的であったが)、それなりに娘の気持ちが暗い方向へ行かないように努めてきたし、その親戚(そうじろうと比べればかなり常識的な)はちょくちょくこなたの元に来て一緒に遊んだ。 しかし、それでもやはり補えない違和感を抱え、成長していったこなたが、初めて心の違和感を拭えたのは、友達の存在だった。 元来明るい性格であったこなたは、いじめなどとは無縁な位置に居たが、彼女のクラスで、僅かではあるが、いじめの存在があった。 スポーツが苦手で少し暗い男の子――名前は男と言ったが、こなたは自分と正反対のその少年が気になる存在となっていた。 母親が居ないという、自分ではどうしようもない運命のような物を、生まれつき手渡されていたこなたにとって、その少年の性格が社交的で無い、という事は『個性』程度の問題でしかなく、他のクラスメイトとは違い、自然に男と接する事が出来た。 しかし男にとっては、そのこなたの対応は奇異なもので、結果初めて心を開ける存在となった。 男のその反応は、こなたにとっても初めてのもので、自分に対して心をすべて開いて来る男の存在は、かけがえのないものとなった。 おそらくそれは、母親が娘に心を全て開くように、男がこなたに心を全て開いた事で、こなたがどうしても手に入れられなかった感覚を、感じる事が出来たからであろう。 二人が、お互いを、取り換える事の出来ない存在と自覚し合えた時、こなたは『さいたま』という街に引っ越すこととなった。 こなたにとっても男にとっても、それは余りに突然で、こなたは父親に引っ越しの訳を聞くひまは無かった。 こなたはかけがえの無い物を二度失って(父親の影響や元々の趣味もあったのだが)、少しずつインドアな生活が身についていった。 しかし、大切な友達であった男の事は、新しい友達が出来ても忘れる事はなく、その気持ちは『新しい友達を大切にする気持ち』となって生き続けていた。 新しい大切な友達――かがみ、つかさ、みゆき。 十時を過ぎた頃、ネトゲー仲間のななこ先生(独身)が言う言葉で視線を黒板に向けた。 ななこ先生「……遅刻してきた男君や。……」 『…男…?』 こなたの脳裏には『フラグ』という言葉がよぎった。 いくつかの、こなた自身にしか分らない慎重なアプローチを経て、転校生は自分の中の『男』と一致した。 思い出は美化されるものだが、それを上回るほど、男は優しさを保ったまま、強く変わっていた。 こなたは男の様子を見て、一つの決断を出した。 男が自分のことを、彼の記憶の中の『泉こなた』と一致させてくれる日まで、自分からは言わない。何度も「私のこと、覚えてる?」と言いそうになったが、我慢した。 しかしもし、男が自分に気づいてくれた時は………。 男が転校してきた次の日、みゆきさんが家に遊びに来て、家の中で行方不明になっていたケータイが発見してくれた。 ピッピッピッ… 久しぶりにケータイをいじるこなた。 『じゃ明日…っと。』 『ありがとう、みゆきさん…!!!』 わんこシティに行った日の夜。 こなたは普段、親友のかがみにさえもめったにしない電話を男にした。 こなた「(昔みたいに)宿題教えて、てゆーか写させて。」 こなたは男の性格をよく知っていた。男は長期休みに入った時点で大抵もうすでに宿題を終えている。 男「駅まで行くから何時に待ち合わせする?」 『計画通り!!!』 こなたの中の夜神月が微笑んだ。 ゴールデンウイーク最終日。 こなた「………。」 無言で男の家のインターホンを押しまくるこなた。顔がにやけそうになるのを必死で抑えていた。 男「早すぎる。」 寝ぐせをつけたままの男が玄関に現れると、跳び付きたい衝動に駆られたが我慢した。 アキバの雑踏の中で今にも迷いそうな男が冗談ぽく「置いてかないでぇ」と言うと、こなたは「早くしないと色々まわれないよ!!」と急き立てるふりをして、男の手を引いた。無論、男の顔は一度も見なかった。 男「荷物持ってやるよ。」 何気ない言葉が、こなたの気持ちを上空から引き戻した。 『マズイ、完全に浮かれてたよ。』 ゴールデンウイークが終わった最初の火曜日。 こなたの中の男は、空いていた時間を簡単に埋めるほど輝いて、埋めるに飽き足らず、溢れ始めていた。 こなたはゲマズでラノベの新巻をチェックすると、もう時間が八時近いことに気づき急いで家路についた。 こなたは、今まで自分がしたことが無いスキップをしていることに驚いた。 でも、そのスキップは、男の姿を見つけて止まった。 男は、女の子と手を繋いで歩いていた。 女の子はこなたのよく知っている、こなたの親友。 柊つかさ。
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/943.html
こなたとモヤモヤ なんだろ?なんかモヤモヤする。 ベッドに寝そべり、寝ようと思ったけど眠れない。 まぁ、本当は原因なんてとっくに分かってるんだけどね。 まったく、なんでこう最近はかがみの事ばっかり頭に浮かんでくるのか…。 おかしいなぁ、私にはそういう趣味は無かった筈なんだけどな~…。 いっそかがみに告白してみる?いや、やっぱ駄目駄目。断られるに決まってるじゃん?なにを考えてるんだい私よ。 「まいったなぁ…明日起きられるのかなコレ?」 時間はもう深夜。 そういえば、なんかアニメは…あ~ハイハイやってませんね分かってましたよ。 「あ~…まぁ、アレだよ。このままでいいでしょ?」 そう、私が何もしなければ誰も傷付かない。私も、かがみも。 いやいや、そんなん嘘っぱちでしょ?ただ単に、拒まれたくないだけじゃないの?ただ…私が傷つきたくないだけでしょ? うん、否定出来ないネ。そこは素直に認めとくけど、それなら私はどうすれば良いと? このままでいれば、ゆる~い空気の中でずっと馬鹿やってられるし…ホラ、やっぱり変える必要も、変わる必要もない! 今までがそうだったし、これからだって今まで通り出来るよ。 ハァ…やっぱ今のまま…か。それはそれで苦しいけど…でもいっかな? ―――翌日 「お~すこなた。あんたがこんな早く起きてるなんて、なんか意外ね?」 「んぁ?なんだかがみんか。つかさは?」 「つかさは今日休み…ってなんだ?私じゃ不満か?」 犬歯を出して、頬を引き吊らせるかがみ様。 「おぉ恐っ!かがみ狂暴~♪」 「朝っぱらから大声で変な事叫ぶな!」 ……やっぱり、コレで良い。 いつも通り、こんなやり取りをやってれば…。…って、かがみ。なに驚いてんの? あれ?ていうか視界が… 「こ、こなた?アンタどうしたの?」 はい?それ、私が訊きたいんだけど。 本当に私はどうしてしまったんだろうか? 「あ…いや、私は別に本気で怒ってる訳じゃないのよ?ただ、いつものノリっていうか…ねぇ?」 かがみが慌てながら必死に取り繕ってくれてるけど、私の視界は歪んだまま。 あぁ、私、泣いてるんだ。 何で?何でだろ?あ、そっか…どうしようもないくらい、好きになっちゃってたんだね…かがみの事が。 「ちょっと…目にゴミ入っただけだよ」 私の嘘吐き…。 続く? コメントフォーム 名前 コメント 続かせるんだー!! -- 名無しさん (2023-06-02 11 21 06) 続けー!! -- 名無しさん (2010-07-29 12 19 02) 続きをー モ ヤ モ ヤ -- 名無しさん (2009-01-04 03 48 00) おいおい、『続く?』じゃなくて『続け!!』です。 作者殿、お願いします。 -- kk (2009-01-03 18 37 16)
https://w.atwiki.jp/konatazisatu/pages/111.html
こなたの体育祭 15-458 (ボツワナ) こなたは、母の仏壇に手を合わせ、母に報告した。 こなた「お母さん、私にも友達ができたよ。」 中学時代友達らしい友達がいなかったこなたに、一緒に行動する友達が出来た。 こなたは生まれて初めて友達っていいなと思う時間を過ごしていた。 中学時代は、話し相手もなく、ゲームを学校に持ち込んで、ゲームに集中することで、 寂しさを紛らせていたこなただった。しかし、高校にはいりやっとその寂しさから開放されたのである。 近日は、かがみ、つかさという友達と、糟日部駅で待ち合わせて学校へ行くぐらい親しい間柄になっていた。 昼食はこの二人の他に、かがみと仲の良いみゆきが加わって四人で食べるというのが日課となっていた。 ある朝、こなたがいつもの時間に糟日部駅の約束の場所でかがみとつかさを待っていた。 いつもかがみたちが約束の場所に姿を現す時間なのに、かがみもつかさも姿を見せない。 こなたは、何かあったのかと思いながら、しばらく待つことにした。 しかし、いつまで立っても姿を見せない。こなたはこのままでは遅刻してしまうと思い。 後ろ髪を引かれる思いでバスにのった。 遅刻ギリギリの時間であったが結構陵桜生が乗っていた。 みんな友達と一緒で、楽しくお喋りしながらの、楽しそうな登校姿であった なんだか、自分だけ一人で乗っているのが場違いな気になった。 学校に着いたこなたは急いで、上履きに履き替え、教室に向かった。 教室が何だか騒がしい。 こなたがいつも通りに教室に入ると、教室の全員がこなたを見た。 こなたはいったい何があったのだろうと思った。みんな自分のことをじろじろみている。 視線が集中する中、こなたは遠慮がちに、自分の座席にむかい、鞄を席の横に掛けた。 そして、こなたは、いつも通り教室に入り、仲の良いつかさとみゆきに声を掛けた。 こなた「お、おはよう、つ、つかさ、み、みゆきさんおはよう。 きょ、今日どうしたの、糟日部駅でいつもの時間に待っていたのに?」 つかさ「こなちゃん、こなちゃんのお父さんて変態でロリコンな上に、ヲタクなんだってね。 こなちゃん、もう近寄らないでくれる。」 みゆき「私も左様お願いします。 泉さんのお父さんが、体育祭で、泉さんを応援するふりをして、 私達、女子学生の写真を取り捲っていたらしいですね。驚きましたわ。 いやらしい方なんですね。 私は、泉さん一人のことを熱心に撮っていたのだと思い込んでいました。 ところが、泉さんだけでなく学校中の可愛い女子学生の写真を片っ端から、撮っていたなんて、 なんていやらしい方でしょう。 きっと、望遠レンズで、胸だとか、お尻だとかそういうところばかりを狙って撮っていたんでしょうね。 体育祭は飛んだり跳ねたりが多いですから、 私のように凹凸のはげしい者なんかは、 凹凸のゆれる様子なんかを連続写真で撮ったりしたのでしょうね。 泉さんと同じ学校に通っているだけで、いやらしいロリコン親父から、 今にも犯しそうな目で見られ、犯すような目で写真まで撮られてしまうなんて。ショックです。」 つかさ「ゆきちゃん美人だし、スタイル良いし、巨乳だし。 きっとこなちゃんのお父さんから何枚も写真撮られているよ。 娘であるこなちゃんが、ゆきちゃんのこと『歩く萌え要素』とかいっていたから。 私もお姉ちゃんも、みんな犯すような目で見られ、写真を撮られたんだわ。 こんなエロ親父、学校に引き込むことになったのはこなちゃんがいるからだよ。 こなちゃん、存在自体がめいわくなんだよ。」 こなた「な、何があったの?教えてよ。」 つかさ「こなちゃん、今朝、教室にきたらこんな写真が出回っていたの、知っている。」 つかさは何枚かの写真をこなたに手渡した。 つかさ「これこなちゃんのお父さんだよね。みんな凄く怒ってるよ。」 そこには体育祭の日に、陵桜学園の女子学生の写真を取り捲っているそうじろうの姿が映っていた。 しかも、そのそうじろうの撮っている被写体にはこなたが入っていない。 そうじろうのやっていることは、娘の記念写真を残すという名目で、 ロリコン親父が女子高生の躍動する肉体を写真に撮っている姿であった。 つかさ「こなちゃんのせいで、私もゆきちゃんも、お姉ちゃんも、 みんなロリコン親父のオカズにされちゃうよ~。」 みゆき「気持ち悪いですわ。」 こなたは言葉に詰まった。なんと応えればいいのやら。 こなた「ごめん、迷惑かけて。お願い友達でしょ。許して。」 つかさ「友達っていわれてもね~。」 みゆき「友達といっても許せることと許せないことがありますし~。」 こなた「・・・どうすれば良いかわかんないんだ。」 「なんでそんなに責められなくてはならないのか?」こなたはおもった。 自分がやったことではないのだ、あくまで写真を撮ったのは父親なのだが・・・。 しかし、そんな主張の通る様子ではなかった。 こなたは涙声になりながら、 こなた「みんなごめんなさい。迷惑かけたと思うよ。許して。」 こなたは丁寧に謝りなおした。 こなたは精神的に限界であった。そんな時、助け舟が入った。 黒井先生「おい、お前ら何やっとるのや、ホームルームはじめるで。」 黒井先生が来てくれた。こなたは助かったと思った。 黒井先生の登場は根本的にこなたを救うものではなかった。 つかさもみゆきもこなたと視線を合わさないようにしている。 こなたはこの日一日、休み時間は出来るだけ教室の外で過ごすことにした。 教室にいたらどんなときにまた、責められるか解らないからである。 そんなとき廊下を歩いているとかがみとであった。 こなた「かがみ、大変な事になちゃったよ。 お父さんが女子を隠し撮りしているのばれて・・・・」、 こなたは泣きながらかがみに訴えた。かがみがなんとかしてくれることを期待したのであった。 かがみ「知らないわよ。もう私に近寄らないで。私まで盗撮の一味だと思われちゃ叶わないわ。」 こなた「そんなかがみまで、・・・・。助けてよどうしたら良いかわかんないんだよ。」 かがみ「はっきり言って、私もあんたのお父さんの盗撮の被害者かもしれないのよ。 なんであんたを助けなきゃいけないの?」 こなた「そんな、かがみまで・・・。」 かがみ「わかったら、もう私に近寄らないで。」 そういい残すと、かがみは逃げるように去っていった。もはや、こなたには頼る人がいなくなった。 昼食の時間になった。いつもならば、こなたはかがみ、つかさ、みゆきと机を並べて昼食を食べるのだが、 今日からはこなたは一人、屋上で食べることになった。こなたは泣きながら、弁当を食べた。 涙が口の中に入り、弁当がしょっぱくなっていた。 授業が終わって、帰るときもこなたに近づくものはいなかった。 いつもなら、つかさやみゆきが一緒だった。 だが、もはやつかさもみゆきもこなたと行動をともにしようとはしなかった。 こなたは一人で、家路に着いた。 次の日、こなたは、とにかく学校に行かなくてはと思い、学校に向かった。 学校に行けば辛い思いをするだけだが、そうじろうに心配をかけたくないという思いから、 学校に行く外道がなかった。重い足取りで、電車に乗り糟日部駅でおりた。 もしかしたらと思い、今まで糟日部駅のつかさやかがみと待ち合わせた時間に、 待ち合わせ場所に行って見たが、やはり誰もいない。自分は一人ぼっちだと思った。 教室に着き誰とも会話せず、席に着いた。かがみとみゆきとつかさは三人で楽しそうに話しこんでいる。 こなたの様子を気にするそぶりも見せない。 こなた「つかさ、みゆきさん、盗撮の件は本当に迷惑かけたと思う。心から申し訳ないと思う。 だから今まで通り、仲良くしてよ。」 つかさ「こなちゃんのせいで私達盗撮されたんだよ。 そんなに簡単にこの事件を無かったことになんか出来ないよ。」 みゆき「たしかにそれはありますね。 神聖な学び舎で、欲情した目で婦女子を見るような方とは仲良く出来ません。」 こなたは、そうじろうの盗み撮りの写真がばら撒かれた日以来ほとんど誰とも喋っていない。 寂しさが、胸の中に広がっていた。 こなたは段々学校へ行くのは嫌になり始めていた。学校で話す人がいないからだ。 話しかけても、無視されたり、冷たくあしらわれたりするだけであった。 ある日、ついにこなたは学校に行けなくなった。 家の中に引きこもり、ゲームや、ネットの中に、逃げ込むようになった。 そうじろうは心配し、こなたにたずねた。 そうじろう「いったいどうしたんだ。なんで学校に行けないんだ?」 こなた「どうしても体調がわるくて。」 「そうじろうが盗撮していたせいで学校に行けなくなりました。」とは言えなかった。 こなたが引きこもる日々が続いた日曜日の前日、そうじろうがカメラの手入れをしている。 そうじろう「あしたの日曜日、お父さんでかけるから。」 こなた「出かけるって何処に、」 そうじろう「いやあちょっと、ハハハ・・。」 こなた「もしかしたら、何処かの学校の体育祭?」 こなた怒りがこみあげた。自分がそうじろうの、変態的な趣味のせいでこんなに苦労しているのに、 そうじろうはまだ、変態的な趣味を慎むことなく、 何処かの高校で、女学生の写真を取り捲ろうとしているのだ。 こなたはどうしても我慢できなかった。 こなた「おとうさん、もう、女学生の写真撮りに行くの止めて。」 そうじろう「良いじゃないか。」 こなた「おとうさんが、うちの学校の体育祭で、みんなの写真を撮っているのがばれて、 私がみんなからいじめられているのだから、お願い、写真は止めて。」 そうじろうは頭に血が上った。 そうじろうは、後ろめたい行為を非難されたことで、 逆に怒りが爆発したのだった。 そうじろう「こなた、お前誰の金で学校行けていると思ってるんだ。 ちょっと甘やかすと調子に乗りやがって、 俺をロリコンでキモオタだと思いバカにしているのか。」 そう怒号を上げると、こなたのアホ毛を鷲掴みにした。そして、力いっぱいこなたを平手打ちした。 こなた「きゃあ。」 そうじろう「生意気な!」 こなた「お父さんが、女子学生の写真を撮るから、私は学校で、みんなからイジメられるんだよ。 お願いだから、そんなこと止めてよ。」 そうじろう「おれが何処で何を写真に撮ろうが関係ねーだろ。」 こなたは涙をこぼし始めている。 こなた「ぎゃあ。」 更に、そうじろうは、こなたを連続して往復で平手打ちした。 こなた「うぐぅ、はぁ、ぐうっ」 こなたは殴られる度に、うめき声を上げた。 こなた「お父さんお願い、盗撮なんか止めて。」 この日、そうじろうは、こなたがどんなに頼んでも、女学生の盗み撮りを止めるとは言ってくれなかった。 そればかりか、盗撮を止めてくれと、こなたが言うと、更に、こなたに暴力を振るうのであった。 こなたの気持ちはそうじろうから離れた。そうじろうはこなたのことは考えてくれない。 しかし、学校にも居場所がなく、家にいても、そうじろうの顔は見たくない。 結局、こなたには居場所がなくなってしまった。 こなたは人生に絶望した。近所の薬局で睡眠薬を購入した。一軒だと怪しまれると思い。 いくつかの店に分けて購入した。 こなたは、自分の部屋の中で、人生の最後に見ておきたいものを見た。漫画やアニメのDVDなどである。 しかし、一番の願いは最後に、かがみ達ともう一度会い、楽しい時間を過ごすことだった。 こなたは、かがみ達と過ごした楽しい時間の思い出の品々をみて、楽しかった時間のことを思い出した。 こなた「そういえばかがみ達といろんなところへいったな。 海水浴にもいったし、コミケに連れて行ったりもしたな、 何年も続けていったコミケだが、やはりかがみ達一緒に行ったときが一番楽しかったな。」 こなた「おかあさんのところへ行くのか。」 こなたは写真でしか知らない母を思った。 こんなところで自殺したら、もし天国で母に逢ったとき、母はこなたを怒るだろう。 こなた「でも、お母さん、もう疲れた。もう良いよね、十分だよね。」 こなたは、母に弁明した。 こなたは、買っておいた睡眠薬を大量に飲み、自らの手首の頚動脈をカッターで切った。 真紅の血が噴出し、意識が遠くなった。 泉こなた享年17歳 翌日、そうじろうは昨日の自分の乱行を恥じた。こんなところをかなたが見たらどれほど悲しむだろう。 そうじろうはこなたにきちんと謝り、そして、もう女学生の盗撮は止めようと決心した。 そうじろう「こなた、昨日は悪かった。もう暴力は振るわないし、 こなたの言う通り、金輪際、女学生の写真を盗み撮るのは止めるよ。 おーい、こなた、怒ってないで返事しておくれ、 本当にお父さん悪かったと思ってる。 ドアを開けておくれ・・・・・。」 中から物音がしない、そうじろうは、いよいよ事の重大さに気づいた。 そうじろう「こなた!いいか?あけるぞ。」 こなたはベッドの上で、手首を切り血まみれになって死んでいた。 そうじろう「こ、こなた!?」 そうじろうはベッドに横たわるこなたを抱えて揺さぶった。 そうじろう「こなた、しっかりするんだ、こなた。目を開けてくれ。」 そうじろうはこなたの胸に耳を当て心臓の音を聞いた。心臓は止まっていた。 そうじろう「こなたぁぁぁぁぁぁ。うわーぁぁぁぁぁ。」 そうじろうは髪の毛をかきむしり叫び声を上げた。 そしてありえない奇跡に期待して救急車を呼んだ。 そうじろう「何でこんなことに・・・。」 「何で」といっては見たものの、責任はそうじろう自身にある。 たかが女学生の写真を撮れなくなるぐらいのことで、 何故あんなに自分が逆上したのか自分でも解らないぐらいだった。 そうじろう「あじゅあぁぁ、ううっ、・・・かなた俺はどうしたら良いんだ。」 後悔に苦しむそうじろうの横でこなたは冷たくなっていた。 救急車が来た、こなたは変死なので司法解剖され、その死因は出血多量だった。 警察は自殺と断定した。警察から冷たくなったこなた無言の帰宅をした。 その日一日、そうじろうは荒れ狂った。家中の物を投げつけて八つ当たりをした。 かなたに続いてこなたまで失うことになってしまったからである。 そんなとき泉家の電話が鳴った。電話主はかがみだった。黒井先生に頼まれて、 学校に来なくなったこなたの様子を伺うためである。 かがみ「高校でこなたさんにお世話になっている、柊ですが、こなたさんはいらっしゃいますか。」 そうじろう「こなたは、自殺しました。 今までこなたと仲良くしていただいたそうで、ありがとうございました。」 かがみ「ええ!自殺ですか。」 そうじろう「何でこんなことになったのでしょうか?」 かがみ「おじさま、こなたさんのことを本当に愛していましたか?」 そうじろう「もちろんですよ。愛しい娘であり、亡き妻の忘れ形見ですよ。」 かがみ「ならばもっとこなたさんの身になって行動すべきだったのでは?」 そうじろう「いつだってこなたのことを考えて行動していましたよ。」 かがみ「おじさまは、こなたさんのことを、娘として愛していましたか? フィギュアやギャルゲ、育てゲーのキャラぐらいにしか思っていなかったんじゃないですか?」 そうじろう「失礼な!こなたを私は娘として愛していた。たかが友達のあんたに何がわかるというのだよ。」 かがみ「あんたさあ、初対面の時にいきなりハァハァしてやがったし、初詣の時も場所弁えずに盛ってたしな。 心証は真っ黒。遊びにいく度に盗撮されてたんじゃないかと思われても不思議じゃない。 私は、少なくとももう二度と泉家に行く気にはならないな。 自分の友達に自分の父親が欲情している姿を見せ付けられた娘のみにもなれよ。 あんたが親じゃあ、娘の友達は父親が気持ち悪いって言い出して、娘に友達出来なくなるのわからねーのかよ。 だからこなたは死んだんだよ。それじゃあ。」 そうじろう「まて、」 かがみは電話を切った。そうじろうは自分の無神経さがいかに娘を苦しめていたかを知り、 生きる気力はなくなっていた。 そうじろうは、ついにかなたの待つ冥土へと旅立つのであった。 かがみの口からこなたの自殺した事件のことは耳にはいったが、 かがみもみゆきもつかさも興味がないらしく他人事のような顔をしていた。 こなたの自殺は、かがみたちにとって普通の記憶と同じように、 これからの出来事の下に埋もれてゆくだけであった。 終わり。
https://w.atwiki.jp/konashin/pages/2322.html
こなた18スレ目作品 18-78 18-79 18-117 18-161 18-211 18-212 18-213 18-236 18-241 18-261 18-273 18-291 18-320 18-335 18-412 18-439 18-691 18-712 18-716 18-771 18-803 18-806 18-811 18-820 18-821 18-846 18-850 18-851 18-855 18-862 18-880 18-885 18-898 18-910 18-958 18-965 18-967 18-974 前 戻る 次 メニューへ
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/353.html
「こなたにいる」 ずっと遠くにあると思っていたものが急に近づいたとき。 本当は、最初からすぐ近くにあったものなのかもしれない。 いつもそばにある大切な何か、ほんの少しでも離れると生きていられなくなる何か。 空気、水、食べ物、服、家、他にもいくらでも考えつく。 でも、欠かせないものたちから恩恵を授かっている人々のどれくらいが、 その「何か」に生かされることの幸せに感謝できているのかな? 私も人のことは言えないけどね。 だって、今まで何も気づいてなかったんだもの。 いつも自分の隣にいてくれると勝手に信じこんでたあいつが 一日でも、一時間でも、一分でも …… いなくなったときになって、 ようやく胸を騒がせる苦しみの正体を知ることができたんだから。 幸せを運ぶ青い鳥。 別に、あいつの髪の毛が青いからなんて単純な理由じゃないわよ。 あの童話と似てるって思っただけ! 知ってる人は知ってるかな、いや、結構有名ね。 前につかさが読んでて、そういえばどんな話だったかしらって気になって なんとなく手にとってみたのよ。 子供のお遊戯みたいな話かなと思って初めは正直バカにしてたけど、 ページをめくる手が止まらなかった。 そこらに売ってるライトノベルの十倍も百倍も面白いかもしれないなんて思ったりもして。 意外と早く読み終わったかしら …… 普通の小説じゃなくて、脚本として、 いわゆる「ト書き」ってやつね、それで書かれてるおかげかもしれないわね。 ――青い鳥はすぐ近くにいた。 すぐ近くにいたのに、チルチルとミチルは幻想の世界で必死に探し求めた。 あの時の彼らには、自分たちのそばにあった鳥かごに 年単位の時間をかけて探してきた特別な存在がいるとは気づいていなかった。 ――結論だけ要約してみると、メルヘンチックな話ね。 あんまり本を読まないつかさが好きになるのも分かる気がするわ。 仮にも自称現実主義の私が、どうしてあんなに夢中になっていたのかしら。 今から思うと、やっぱり自分の立場に近いものを感じていたから? 本当に似てるわね。 あいつこそが幸せを持ってきてくれる存在、いえ、ずっと私にとっての幸せそのものだったのに、 誰も気にしないくらい短い間離れ離れになっただけで、必死に切なさの理由を求めていた。 でも、違うところもあった。 おとぎ話と現実が近づくことはそこまであるわけじゃない。 あの兄妹は素直で純粋だった。 だから、かごの鳥が青い鳥だと知って、そのまま幸せになれた。 私ははっきり言って素直じゃない。 大切なときに素直になれない。 分かりかけても、認めることができなかった。 親友として接してきたあいつに、まさか、そんな気持ちを……! 自分自身に備わってきた理性の目はおかしいと言っているのに、 世間からも間違いなく見捨てられる異常な想いなのに、 どんなにこの感情を抑えようとしても心の霧は晴れなかった。 もう一つ、こんなことを言ったらメーテルリンクさんに悪いけど。 あの話に出てきた青い鳥は、私たちが何もしなくても無条件で最大限の幸せを与えてくれるはず。 見つけるまでの過程は本当に大変だけど。 でも、私の青い鳥はそうじゃないの。 求めなくても少しずつは幸せをくれるけれど、私はより大きな幸せを求めそうになる。 そのどうしようもない欲が、積もり積もって苦悩を生み出す。 もしも、一度求めてしまったなら。 確かに、この上ない幸せがやってくるかもしれない。 それなら私は大歓迎、すぐにでもそうしてやるわよ。 この世界はそう甘くない。 自分の感情をさらけ出した瞬間に青い鳥は逃げてしまうわ、きっと。 一度遠ざかった鳥は、二度と帰ってこない。 私は最悪の結末を恐れている。 少しずつ幸せを積み重ねて、少しずつ悩みを積み重ねて。 これでいいの、大きな幸せを受け取り損ねて絶望するよりは。 大体、青い鳥にも幸せになる権利があるじゃない! どうして私が勝手にそれを奪えるの? 友達だと信じていたから私と笑いあえていたあいつを裏切るなんてこと、絶対にできない! ごめんね、私って……本当に、おかしな女の子だよね。 あんたの知らないところで想いを寄せて、 髪の色と童話の最後を無意味に重ね合わせて、 勉強も手に付かないほど、涙も出てくるほどに……あれ、涙……? どうして、いつから私はこんなに弱くなったんだろう。 開いたままの参考書に染みた一滴を見つめる。 一滴が二滴、三滴に増えるのを見つめつづける。 シャーペンを持った左手に力が入らない。 この瞬間私のもとに青い鳥が飛んできても、どうすることもできない。 ただ本心をひた隠しにして、行くあてのない感情を巡り巡らせ、孤独の中ですすり泣くだけ。 近くにある幸せを幸せとすら思わないことのできる幸せが、 近くにある幸せにそれ以上近づくことのできない苦しみに変わったときから。 それでも、今すぐに飛んできてほしい。 近くにいることを確かめるだけで、不安が少しは消えてくれるから。 扉の開く音と、聞き慣れた呼び声が耳に入る。 鍵、閉め忘れてたのね……私ってば、本当に……。 私への電話を知らせる声、教えてくれたつかさに感謝の一言。 二十分くらい前から、つかさはずっと呼びつづけていたみたい。 気づかなかった。 それくらい前から着信音が鳴りつづけてた、違う、鳴っては止んでを繰り返してた、ってことよね。 信じられないくらい重症ね、誰が治してくれるわけ? まったく。 つかさは参考書の涙に気づいたかしら。 どう笑顔になっても、私がさっきまで泣いてたことは隠せないかも。 いや、もしかして、今でも……? 私は受話器を取った。 つかさはそのまま部屋を出た。 声。 離れていても、確実に温もりを伝えてくれる声。 紛れもないあいつの声。 ――飛んできた。 何よりも先に私を気づかってくれる声。 つかさに呼ばれたからと、私に許可を求める声。 あいつが私の家に近づいていることを知らせてくれる声。 ――飛んでくる。 着替えよう。 涙を拭こう。 あいつと同じ笑顔になろう。 恥ずかしくないように、私とつかさの部屋を片付けよう。 参考書を閉じて、勉強を一時忘れて、近づいてくる幸せ、 幸せ自身からこぼれだす幸せのかけらに期待しよう。 そして、持つべきものは妹だ。 あの子はいつも鈍いけど、時々妙に鋭いところがある。 他の人とは違う感性が磨かれているのかしら? 私の感情にも、ずっと前から気づいてたり、なんてね。 私を生かしてくれる青い鳥。 「泉こなた」以外の誰にも替えられない、何よりも近い存在。 ここにいてくれるだけで、何よりも特別な存在。 いつになるか想像も付かない、いつになっても叶わないかもしれない。 それでも私は一つの願いを持ち続ける。 青い鳥が分けてくれる幸せが、青い鳥と分け合える幸せに変わるように、という願いを。 呼び鈴が、一鳴り――。 (おわり) コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b 台詞が無くても情景が分かるの凄い -- 名無しさん (2023-01-06 03 30 53) GJ -- 友生 (2011-01-25 04 13 40)
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/1084.html
あの後、私は事の全てをけんたに話した。 「…そうか、そんな事があったのか」 それを聞いたけんたは、私を怒るでも無く、神妙な面持ちで話を聞き入っていた。 「怒らないの?」 「怒ってどうするんだよ…。別に、かがみがその子とキスしたくてした訳じゃないんだろ?」 「それは…そうだけど…」 「なら、俺はそれで構わないよ。逆に、それで変に負い目を感じて、さっきみたいな事をして来た方が俺には辛いよ」 「うん。ごめん…」 「…あとさ、一応、その子とも仲直りしといた方が良いんじゃないかな?」 「別に…。あいつの事なんか、どうでも良いわよ……」 私がそう言うと、けんたは困ったような微笑みを浮かべて、「後悔だけはするなよ」と呟いた。 「ふとしたことで~こなたのいない日常~」 それから1ヶ月近い間、私がこなたと会う事は一度も無かった。 毎日の登下校でも会わなくなったし、私も学校で、同じクラスのつかさやみゆきに用事がある場合は、携帯電話を使って呼び出したりするようになっていた。 二人共、今回の事情を知っているから、私の行動に対して、特に何かを言ってくるような事も無かった。 最初の頃はそれで良かったのだ。 私の方も、まだ気持ちの整理も付いてなかったし、悪いのはこなたの方だと思っていたから、時間が経てばあいつの方から謝ってくると思っていた。 そして、こなたが謝ってきたら、それで全てを水に流して、また今まで通りの関係に戻ろうと心に決めていたのだ。 しかし、一週間経っても、二週間経っても、こなたは私の前に姿を現そうとはしなかった。 「そーいや、最近の柊はずっとこっちの教室に居るけどさ、なんで隣の教室に行かねーんだ?」 ある日の昼休み、いい加減私の行動に疑問を感じたのか、大好物のミートボールを口に頬張りながら、日下部がそんな事を私に聞いてきた。 「い、いや、私も、あまり自分のクラスの友達を蔑ろにするのは良くないと思うようになって、というか…」 「そりゃ嘘だな。今頃になってそう思ったとしても、一度も隣の教室に足を踏み入れないなんてありえねーよ」 「そっ、それは…」 「どーせ、あのちびっ子とケンカでもしたんだろー? 柊がウチのクラスに残るようになってから、一度も会ってるとこ見てねーもん」 「うっ……」 そこまで言われると、誤魔化す隙も見当たらない。 「まっ、あたし的には柊がこのままこの教室に残ってくれた方が、全然良いんだけどなっ!」 「みさちゃん、柊ちゃんだって悩んでるんだから、軽々しくそういう事を言っちゃだめよ」 「ぶーぅ」 峰岸に注意され、頬を膨らまして不満の声を上げる日下部の姿を見て、「子供かお前は!」と突っ込もうかとも思ったが、肝心の私の気持ちにギアが入らない。 「…でも、柊ちゃんもそろそろ仲直りした方が良いんじゃないかな? 私達と話をしてる間も、時々寂しそうな顔をする時があるから…」 「うん……」 「心配しなくても大丈夫だって、柊。あたしも昔、あやのが大のお気に入りだったぬいぐるみにコーヒー牛乳ぶちまけちゃって、マジで大ゲンカした事があったけど、割と真剣に謝ったらすんなりと許してくれたしな。ケンカしても友達ならそんな程度で許してくれるってば!」 「みさちゃん…。それは確かに許しはしたけれど、私は未だにあの事で傷ついてるんだよ…?」 「げっ!?」 峰岸の出す怒りのオーラに、本気でたじろぐ日下部の姿を見ながら、私は峰岸に言われた言葉を反芻していた。 正直言うと、今この段階で、最初の頃に築き上げられていた私のあの強硬姿勢は、こなたに会えない寂しさと、いつまで経っても謝りに来ないという不安の感情で既に瓦解し切っていた。 ――かがみんは、寂しがり屋のツンデレキャラだよね――。 私達が仲良くなって間も無い頃、こなたにそう指摘された事を思い出す。 その時は、ムキになってそれを否定していたけれど、今になって思えば、そんな早い時期から私の本質を見抜いていたこなたの洞察力には敬服せざるを得ない。 だからこそ、一刻も早く私の元に謝り来て欲しい。 私は、仲直りしたくても、なかなか自分から素直に言い出せない人間なのだから――。 § その日、職員室に用事があった私は、職員室前の廊下でこなたと遭遇した。 約一ヶ月ぶりに見たこなたの姿に、私の心臓は大きく跳ね上がる。 どうやらこなたは私の存在にまだ気づいていないようで、束になったプリントの一枚を読みながら、こっちへと歩いてきていた。 こなたの姿を見た瞬間、私の中にあったくだらないプライドは、どこかへ飛んでいってしまった。 こなたと仲直りがしたい。そのきっかけが私からでも良いじゃないか。 そう決意した私は、ゆっくりと、しかし確実にこなたへと近づいていく。 張り詰める緊張感と、高まる期待。 こなたはずっとプリントを見つめたままで、私に気づく素振りを全く見せない。 このままじゃ、そのまま何事も無くすれ違っちゃうだけじゃない! 痺れを切らした私は、こなたとすれ違う寸前、こなたの目の前で立ち止まった。 第一声はなんて声を掛けよう? 私の頭に一瞬だけ過ぎったそんな考えは、次の瞬間、私を振り払うかのように走り出したこなたによって、無意味な物へと変容した。 「あっ……」 私の口から咄嗟に出たのは、そんな間抜けな一言だけ。 その一言すらも、見る見る内に走り去っていってしまったこなたの耳には聞こえていなかったに違いない。 しかし、そんな事すらも今の私にとってはどうでも良いことだった。 こなたが私を避けた……。 なんで? どうして? 私が今でも怒ってると思っているから? 私が絶交だって言ったのを本気で受け止めてるから? そこまで考えて、ようやく私は最悪の可能性がある事に気付かされた。 ひょっとして、こなたはもう私と仲直りする事を望んでいないんじゃないか…と。 今までの人生の中でも、経験した事の無いレベルの悪寒が私の体を駆け巡った。 私はその考えを必死に振り払おうとした。 …でも、否定しようとすればするほどに、それを証明出来るだけの理由は、どこを探しても見つからなかった。 § 「…お姉ちゃん、大丈夫? さっきからずっと問題も解いてないみたいだし…」 その言葉によって、ようやく私は思考の波から抜け出した。 今まで虚空を見つめていた私の瞳に映ったのは、白紙のままの問題用紙と動かないシャープペンシル、そして、心配そうに私を見つめる妹のつかさの顔だった。 「えっ…? あっ、ごめん。どうも今日は勉強に身が入らなくて…」 テスト直前という事で、こうして家でつかさと一緒に勉強をしているのにも関わらず、私の頭は今日のこなたの事で全ての容量を使われてしまっている。 「ん~、まだ日にちもあるんだし、出来ない時はあまり無理をしない方が良いんじゃないかな?」 「そうね…。今日の所はそうするわ…」 私がそう言って、教科書とノートを閉じると、つかさの方も同じように勉強道具を片付け始めた。 「あんたも今日は終わりにするの? まぁ、良いけど…」 「えへへへ…。じゃあ、私、部屋に戻るね」 「あ、待って、つかさ」 そうはにかんで、自室に戻ろうとするつかさを私は呼び止めた。 「どうしたの? お姉ちゃん」 「あのさ…、最近のクラスの様子はどう?」 「…こなちゃんの様子が気になるんだね?」 「……うん」 珍しく勘の良いつかさに、私は白旗を揚げてそう頷くと、つかさの表情がそれまでの穏やかな物から、強い決意の篭ったものへと変化した。 「…お姉ちゃん。いい加減にこなちゃんと仲直りしようよ」 「……」 「…このままじゃ、こなちゃんも、お姉ちゃんもずっと不幸な気持ちのままになっちゃう」 「そんな事…言われても…」 私だって本当は今でもそうしたいと思ってる。 でも、もしも、あの時私の頭に過ぎった最悪の可能性がこなたの本心なんだとしたら、その選択肢を取る事が果たしてお互いの為なのだろうか? 「お姉ちゃんが、うんって言ってくれたら、私はいつでも二人っきりで話が出来る機会を作るから、ねっ?」 釈然としない私の受け答えに、つかさの口調が段々強くなっていくのが分かる。 つかさが思っている程、この問題は簡単に解決出来る物なんかじゃないのに…。 「お姉ちゃん。黙ってちゃ、私どうしたら良いのか分からないよ…」 思い通りにならない日常、そして、強引に私達の仲を取り持とうとする妹の姿を目の当たりにして、私の中でつかさに対する反感が蓄積されていく…。 「ねぇ、お姉ちゃ――」 「うるさいっ!!」 それでも食い下がろうとするつかさの言葉を私は大声で遮った。 突然の大声に、ビクリとするつかさを尻目に、理性の箍が外れてしまった私は、自分の感情をオブラートにも包もうとせずに一気に捲くし立てる。 「…人の気持ちも知らないで、自分の都合でどうこうしようなんて思わないでよっ! 別にあんたにとっては私とあいつがどうなろうが関係無いじゃない! そう勝手に自分の都合で仲直りしようなんて決められても、ハッキリ言って迷惑なだけなのよっ!!」 言い切ってからしまったと思った。 ……でも、もう遅かった。 「……ぐずっ…ひっく…」 そこには、既に私に怒鳴られて涙を流すつかさの姿があった。 脳天まで上っていた血の気が、さあっと引いていくのが自分でも良く分かる。 「……あ、あの、つか――」 「お姉ちゃんの馬鹿っ!」 なんとか、その場を取り繕うと声を掛けようとした私に返って来たのは、つかさの罵倒と、走って居間を出て行く大きな足音だけだった。 つかさにとって、私とこなたの事が無関係な訳が無いのに……。 妹の出してくれた助け舟を私は無下にしてしまった。 「…姉失格だな。私……」 そんな私の後悔の呟きが、つかさの耳に届くことは無かった。 § 「…つかさから聞いたよ。あの娘の事で喧嘩したんだってな」 「うん……」 携帯電話越しから聞こえるけんたの声は、「ほら見ろ、言わんこっちゃない」とでも言いたげなニュアンスだった。 「結局、まだ仲直りも出来てないんだろ?」 「うん。でも、今はそうしなかった事を心の底から後悔してる…」 私が変な意地を張り続けたことで、こなただけじゃなく、つかさにも迷惑を掛けたのだから、本当に自分自身が情けなくて仕方がない。 「まぁ、かがみが素直になれないのは今に始まった事じゃないからな」 「ねぇ、けんた。覚えてる? あんたが転校する少し前に私達が大喧嘩したこと」 「ああ。良く覚えてるよ。というか、それは俺のトラウマだ」 「私もよ。……あの時、ほんの些細な事で喧嘩になって、怒った私が最後に『あんたなんか居なくなっちゃえば良いんだ!』って言って家に帰ったんだよね」 「ちょうど、夏休みが始まってすぐの話だったよな。お互い学校なんかで会う機会も無かったから、あの時の喧嘩はかなり長引いたんだよな」 「うん。本当は私、すぐにでもけんたと仲直りがしたかった。でも、自分からそれを切り出すのが妙に恥ずかしくて、結局夏休みが終わるまでそれが続いたの」 「…それで、学校に来てみれば、俺が急な引越しで転校してた訳だ」 「ショックだったわよ。居なくなっちゃえば良いって確かに言ったけど、本当に居なくなるなんて思ってなかったから…」 「悪かった。俺も、変に対抗意識を燃やして、結局最後まで言わずじまいだったからな…」 「けんたが向こうに行って随分経ってからも、『なんで私はあんな事言っちゃったんだろう』ってずっと後悔してた。だから、もうこんな思いは二度としないようにしようってずっと心に決めてた。それなのに……」 私の目からポロポロと涙が零れ落ちていく。 「ごめんね…。私のせいでこんな暗い話になっちゃって」 「いや、気にしないでくれ。多分、俺にも原因がある事だからな…」 「そんな…けんたは悪く無いわよ」 「いや、俺にも悪い所はあるよ。…だから、罪滅ぼしをさせて欲しいんだ。イヴの日に」 「えっ?」 「ランドの24日のパスポートを取ったんだ。……ベタなチョイスだけど、付き合ってくれるかな?」 「うん。分かった」 正直、今の私は全くと言って良いほどそういう気分にはなれないのだけど、ずっと沈んだ気持ちままで居る訳にもいかないし、けんたも私の事を考えてそういう話を振ってくれたのは良くわかるから、私は素直にそれを了承した。 クリスマス・イヴまであと3週間。 もしも、サンタクロースが実在して、私の願いを叶えてくれるとしたら…。 私は一体、何を望めば良いのだろうか――? 救済へ コメントフォーム 名前 コメント (T ^ T)b -- 名無しさん (2023-06-22 07 35 25) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
https://w.atwiki.jp/konashin/pages/2199.html
こなた17スレ目作品 17-52 17-63 17-134 17-140 17-325 17-327 17-354 17-374 17-389 17-406 17-418 17-435 17-436 17-437 17-440 17-450 17-485 17-504 17-505 17-555 17-565 17-572 17-624 17-647 17-672 17-701 17-702 17-756 17-795 17-797 17-804 17-838 17-840 17-860 17-863 17-953 17-964 17-972 前 戻る 次 メニューへ